無料通話に関しては楽天モバイルでRakutenLinkを使用するのがコスパ最強だと思います。ただ、その際”音声通話品質”の問題が必ず取り沙汰されます。そこで、この記事では無料通話の比較論の前に格安SIMの”音声通話品質”について、それぞれが採用している通信方式を確認してグループ分けをしてみたいと思います。異なる品質を明確に区分することで、スマホを使う人の使い方によって、コスト比較以前の採るべき価値観が見えてくるように思います。
”音声通話品質”をきめる通話サービスの方式
各キャリアの”音声通話品質”を通信方式で表現してそれで見ていくとわかりやすいように思いました。以下に通信方式の種類を紹介します。
VoLTE(ボルテ)
VoLTEは、Voice over LTE(=Voice over Long Term Evolution)の略で、LTE回線を利用した音声通話サービスのことです。音声データをデジタルデータに変換し、4G やLTEのネットワークにのせて通話を可能にします。
VoLTEでは、インターネット上で通信をおこなうための言語にあたるIP(インターネットプロトコル)を利用して音声通話を行います。IP電話の種類によっては、インターネット回線の混雑の影響で”音声通話品質”が悪くなることもありますが、VoLTEの音声データの通信は、LTEネットワーク内で優先制御がされていて、インターネット回線の混雑の影響も受けにくくなっています。
現在、大手キャリア(MNO)がこのタイプになります。
VoLTEの特長
- 音がこもらずによりクリアな音声で高音質な通話ができる
- 呼び出し音までの時間が短い
- 通話中も高速データ通信ができる
VoLTEを使うための条件は?
- VoLTE対応の機種を利用していること
- 4G LTE/5Gサービスエリア内にいること
プレフィックス
「プレフィックス」とは090、080、070で始まる番号から発信するときに、自動的に特別な番号を頭につけて発信することで、電話回線の一部を別の回線に中継する方式です。 通話専用の電話回線を使うのは同じですが、途中安価な回線を経由することで、通話料を安く抑えることができます。このことにより、”音声通話品質”はVoLTEより劣ります。
RCS
楽天モバイルのRakutenLinkアプリが採用している方式です。楽天モバイルは、標準の電話アプリから発信するとVoLTEで、RakutenLinkアプリを利用するとRCSの通話になります。
RCS(Rich Communication Services)は、データ通信回線を使って音声通話するIP電話、LINE通話やSkypeなどと同じ種類になり、SMS(Short Message Service)の進化版として写真(画像)や動画、IP音声通話(ビデオ通話)、ファイル送受信などに対応した世界標準な規格の技術です。RakutenモバイルはIP電話とは少し仕様が異なるRCSという技術を日本で初めて採用しました。
しかしながら、VoLTEがLTE回線の中で音声データを最優先で流すように優先制御がなされているのに対して、RCSやIP電話は優先されていないので、回線が混雑していると”音声通話品質”が落ちることになります。
【楽天モバイル】主要キャリアの”音声通話品質”と通話料金
大手キャリア(MNO)とサブブランド等
さすが、各キャリアとも王道です。
キャリア | 通話サービスの方式 | 通話料金 |
楽天モバイル | VoLTE / 楽天回線 or au回線 | 22円 / 30秒 |
RCS / RakutenLink | 無料 | |
NTTドコモ | VoLTE / ドコモ回線 | 22円 / 30秒 |
au | VoLTE / au回線 | 22円 / 30秒 |
SoftBank | VoLTE / SoftBank回線 | 22円 / 30秒 |
ahamo | VoLTE / ドコモ回線 | 22円 / 30秒 |
UQmobile | VoLTE / au回線 | 22円 / 30秒 |
povo2.0 | VoLTE / au回線 | 22円 / 30秒 |
Y!mobile | VoLTE / SoftBank回線 | 22円 / 30秒 |
LINEMO | VoLTE / SoftBank回線 | 22円 / 30秒 |
MVNO
MVNOの通話サービスは方式も料金も傾向はあるものの違いがあります。VoLTEを利用する場合とプレフィックスを利用する場合での料金の傾向はありますね。こちらもあえて楽天モバイルを基準に比較するような表になっています。
2023年8月現在、改めて確認すると、MVNOでもVoLTEが目立ってきました。VoLTEの価格変動が始まっているような気がしています。
キャリア | 通話サービスの方式 | 通話料金 |
楽天モバイル | VoLTE / 楽天回線 or au回線 | 22円 / 30秒 |
RCS / RakutenLink | 無料 | |
OCNモバイルONE | プレフィックス通話 / オート | 11円 / 30秒 |
日本通信SIM | VoLTE / ドコモ回線 | 11円 / 30秒 |
HISモバイル | 9円 / 30秒 | |
J:COMモバイル | VoLTE / au回線 | 22円 / 30秒 |
IIJmio | VoLTE / ドコモ回線 au回線 | 11円 / 30秒 |
mineo | VoLTE / ドコモ回線 au回線 SoftBank回線 | 22円 / 30秒 |
プレフィックス通話 / mineoでんわ | 10円 / 30秒 | |
AEON MOBILE | プレフィックス通話 / オート | 11円 / 30秒 |
NUROモバイル | VoLTE / ドコモ回線 au回線 SoftBank回線 | 22円 / 30秒 |
プレフィックス通話 / オート | 11円 / 30秒 |
この中で、日本通信SIMとHISモバイル、IIJmioの料金はVoLTEにして驚きです。
まとめ
”音声通話品質”の評価は感覚ですから、人それぞれだと思います。また、一般に、無料のLINE通話を利用している人は多く、たいてい事は済んでいると思います。2023年の今では、何年か前とは違って、品質の高いVoLTEでなくても無料のLINE通話を大きく下回るような品質ではなくなっています。ですから、必ずしも最高品質のものを求めなくてもまずまず使えてしまうと思います。ただ、通信環境の厳しい条件下では時として途切れや聞こえづらさが出ることはあるでしょう。そういう環境下で使う機会が多いのか、それを許容出来るのかどうかで、選択が決まるのではないでしょうか。
この判断が明確にできれば、選択肢の対象は整然としています。その他多くの判断要件がありますが、”音声通話品質”はどうなのかという点は、この記事で把握できたのではないでしょうか。