何事も多くの選択肢の中から最適な一つを選ぶのは困難を極めます。でも、一長一短があるあらゆる選択肢の中から1つではなく2つ選べるとするならば、選ぶハードルが大幅に下がるのではないでしょうか。キャリア選びは最適な一つを選ぶのではなく、互いの長所が互いの短所を補うような2つの組み合わせによるデュアルSIM運用で最適性を実現するのです。さらに、eSIMの機能も合わせて使い方を考えると格安SIMがものすごく楽しくなります。
デュアルSIM運用は1台のスマホで2つのSIMカードを目的に合わせて使い分けるということです
2つのキャリアといっても2台のスマホを持つことはほんとんどの人にとって面倒な話です。デュアルSIMは、1台のスマホに2つのSIMカードを挿入することで、通信キャリア2社分のサービスが並行利用できるというものです。そもそもどんな目的の使い方になるのか、"デュアルSIMの使い方"のメリットから見ていきましょう。
デュアルSIM運用のメリット
- 異なる通信回線のキャリアを組み合わせることで、キャリアの通信障害などに対するリスク回避になる。
- 2つのキャリアサービスのプランを効率的に組み合わせることで通信料金を抑えることができる。
- 仕事用とプライベート用区別するとか、出張などで一時的な利用に対してプリペイドタイプのSIMカードを使う、エリアに応じて繋がりやすい回線を選ぶなど都合による使い分けができる。
- LINEなど電話番号でアカウントが作成できるサービスで2つのアカウントを取得して使い分けることができる。端末によってできない場合もある。
デュアルSIMの4つの方式
デュアルSIM設定には4つの方式があるといわれています。次のとおりです。
DSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)
2枚のSIMカードを挿入していても有効になるのは1枚だけという方式で、手動で切り替えます。同時利用ができませんが、2枚とも4G通信ができます。
DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)
2枚のSIMカードが同時に有効となる方式で、切り替えなくても同時に通信できます。ただし、片方で通話をしながらもう片方で通信することはできません。また、両方同時に通信する場合、一方が4G、もう一方が3Gになります。
DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)
2枚のSIMカードで同時にスタンバイできる方式で、切り替えることなく受信ができます。ただし、両方同時の通信はできません。
DSDA (デュアルSIMデュアルアクティブ)
2枚のSIMカードで同時にスタンバイして、両方同時の通信ができる方式です。片方で通話をしながら、同時にもう片方で通信することができます。
同時に待ち受け | 4G/5G | 同時通話/通信 | |
DSSS | ✕ | 片方だけ | ✕ |
DSDS | ◯ | 片方だけ | ✕ |
DSDV | ◯ | ◯ | ✕ |
DSDA | ◯ | ◯ | ◯ |
デュアルSIM運用で留意すること
メリットに対してデメリットを記すべきですが、デメリットと言えるようなことは思い浮かばないので、ここでは留意すべきこととしてお伝えします。
デュアルSIM対応スマホを用意すること
デュアルSIMを使うにはデュアルSIM機能を有するスマホが必要です。
スロットとSIMカードサイズの対応性を確認する
まず、画像の黒枠がスロット。このタイプだと、利用の組み合わせは
- SIMカード+SDカード
- SIMカード+SIMカード
のいずれかになります。また、端末によってはトリプルスロットもあり、これなら
- SIMカード+SIMカード+SDカード
が可能になります。
画像のSIMカードはnanoSIMカードですが、SIMカードのサイズは3種類あります。
- 標準SIM(miniSIM)
- micro(マイクロ)SIM
- nano(ナノ)SIM
標準SIM | 25mm✕15mm | ガラケーや3Gスマホで使用されげんざいはほとんど使用されていない。 |
microSIM | 15mm✕12mm | 2010年に標準規格になって、iphone4/4sやAndloidスマホに多く利用されていた。 |
nanoSIMカード | 12.3mm✕8.8mm | 2013年に発表され、iphone5sや多くのスマホに使用され現在の主流である。 |
以上のことから、留意すべきことは、
- 使用する端末はデュアルSIMに対応しているか
- 使用する端末のスロットはどういうタイプなのかどのSIMサイズに適応するのか
- キャリアから提供されるSIMカードサイズは使用する端末のスロットのサイズに適応しているのか
- SDカードを併用できるスロットなのかまたはSDカードを使用しなくても使い勝手上支障がないか
無難な選択としては、メイン回線かサブ回線を契約する時にそのキャリアからデュアルSIM対応端末をセットで購入すれば、もう一方のキャリアのSIMカードがその端末に適合するかどうかを確認すれば良いことになります。
物理SIMとeSIM
ここでもう一つ、eSIMという概念を紹介しておかなければなりません。
これまでも使われてきた端末に直接挿して使う物理SIMだけでなく、現在はあらかじめ端末に組み込まれていてデータを書き込んで使うeSIMという機能を有する端末があります。
eSIM対応の端末は、出荷時点ではデータ通信の情報が書き込まれていない状態で発送されます。データ通信の情報は、QRコード読み取りや専用アプリのインストールなどを通してeSIMにデータを書込みます。データの書き込みが終わるとデータ通信や音声通話が利用可能となり、物理SIMと同じように通常利用できます。
eSIMを利用する上での留意点を簡単にあげておきます。
- キャリアによってはeSIMに対応していない
- eSIMに対応した端末を選ばなければならない
対応キャリアについては、MNOはすべて対応、当サイトで対象にしているMVNOもほとんど対応していますね。ただし、一部条件付きだったりプランによるものもあるようです。2023年6月現在で対応していなのはイオンモバイルとOCNモバイルONEくらいですね。
まとめ
冒頭に記したように、最適な1キャリアを選び出す困難を考えれば、最適に近いメイン回線とそのメイン回線の少しの不安材料を補う特徴をもったサブ回線を組み合わせるデュアルSIMという組み合わせ手法を用いることがベストな快適スマホ利用につながるのではないでしょうか。
組み合わせの方法もeSIMを考慮に入れることにより、次のようなバリエーションが考えられ、使い勝手の幅も広がります。
- 物理SIM+物理SIM
- 物理SIM+eSIM
- eSIM+eSIM
ただ、留意点にも示したように、デュアルSIMもeSIMも対応キャリアと対応端末に確認を要します。
デュアルSIM運用は、スマホの利用条件の最適性を極めることとともに、通信障害などの事故リスクをカバーできる可能性も持ち備えることにもなります。今後において、デュアルSIMは標準機能としておすすめしたいと思います。